お茶席にルーツを持つ懐石料理

懐石料理が生まれたルーツ

懐石料理といえば、高級料亭でのお食事、京都など風情ある場所で供される和食などのイメージをお持ちの方も多いと思います。
何だか敷居が高くて食べに行けない、どうやって食べればいいのかマナーが分からず不安という方もいるかもしれません。
懐石料理はもともと茶の湯の文化の中から生まれてきたものです。
茶の湯といえば、お抹茶と和菓子が思い浮かび、驚くほどに甘い砂糖たっぷりの和菓子を頂き、それを渋いお抹茶でいただく、この甘さと渋みのコラボレーションを楽しむ文化と思われている方も多いのではないでしょうか。
つまり、ティータイムの楽しみで食事とは別に、おやつの時間の嗜みといったイメージが強いです。
ですが、本来の茶の湯の文化では甘い和菓子とお抹茶は食後のデザートのような位置づけです。
といっても、本来の洋食のフルコースディナーのようにお口直しとしての位置づけではなく、抹茶を楽しむために最初に食事をしておくというスタイルで、その料理として懐石料理が考案されたのです。

見た目にも楽しむ

懐石料理はいきなり甘い和菓子や渋い抹茶を飲むよりも、ほどよくお腹を満たし、季節の食材でお食事や会話を楽しんだあとのほうが、美味しくお茶が飲めるのではと考案された料理です。
そのため、大量にどーんと出てくるのではなく、少しずつ美しい器に盛られて供されます。
茶の湯の文化では季節を楽しんだり、風流を楽しむこともモットーになるため、旬の食材をふんだんに用い、器にもとことんこだわるのが流儀です。
全国各地の有名な焼き物や陶磁器を使ったり、有名な作家の作品で料理が供されるほか、こだわっている方はお茶席の主催者自らがろくろを回して製作した器が登場することもあります。
その見た目を楽しむのはもちろん、器の素晴らしさを誉めたりするのも粋な計らいであり、マナーでもあります。
そのため、お茶席や懐石料理を楽しむうえでは、昔の方は陶磁器などの知識も学び、お茶席を重ねながら知識を磨いたものでした。

懐石料理の流れ

懐石料理は抹茶を楽しむためのお料理だったという意外なルーツがありますが、お抹茶に行きつくまでの流れとして、以下のような料理が順に供されていきます。
折敷膳と呼ばれるセットはご飯に味噌汁、ご飯に合うちょっとしたものが付く向付で構成されています。
その後、旬のお野菜などの煮物に、旬の魚などの焼き物、さらにもう1品煮物などが出る預け鉢、お口をさっぱりさせる吸い物、お酒のアテになる八寸、お酒を飲み終わった後に供されるお湯とおこげといった湯桶、香の物と続き、お待ちかねの和菓子と、一煎ずつ点てた抹茶が供されます。

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